犬のグルテンとアレルギーの関係を解説します!

 犬の食事においての関わりも深い小麦ですが、アレルギーや免疫との関係についてグルテンフリーなど関心が高まっています。そこで本記事では、小麦に含まれるグルテンの特性や腸内環境、免疫との関連性を解説します。

目次

小麦とグルテンとは?

小麦には「グルテニン」と「グリアジン」という2つのタンパク質が含まれていて、グルテンは「グルテニン」と「グリアジン」が水と結びつき、網目状につながることで形成されます。

このグルテンはパンやパスタなどのネチネチ、モチモチ食感を生み、調理には欠かせない要素です。

また、小麦の種類によってグルテンの含有量が異なり、以下のように分類されます。

    •強力粉:グルテン量:11~12%
代表的な食品:パン、ピザ生地、パスタ

    •中力粉:グルテン量:約8~10%
代表的な食品:うどん、中華麺

 •薄力粉:グルテン量:6~8%
代表的な食品:ケーキ、クッキー、天ぷらの衣

グルテンの消化と吸収

 グルテンには消化に特化した酵素が必要で、これが消化しきれない場合、腸に負担をかけることがあります。

特に「ゾヌリン」というタンパク質がグリアジンから分泌されることで、小腸のタイトジャンクション(細胞間をつなぐバリア)を広げ、腸内環境に影響を与える可能性が指摘されています。この状態は、リーキーガット症候群(Leaky Gut Syndrome)などの腸のバリア機能障害と関連しているともいわれています。

グリアジン(小麦に含まれるタンパク質)が腸のタイトジャンクションを広げることで、ゾヌリンタンパク質が放出される仕組みに関する研究。これにより腸の透過性が高まり、アレルギーや炎症性疾患を引き起こす可能性が指摘されています。
出典:Glutamine and the regulation of intestinal permeability: from bench to bedside, https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22038507/

この背景には小麦の品種改良が進み我々が本来持つ消化酵素の遺伝子上、改良小麦の消化処理が難しいという背景も考えられており、犬も同じことが考えられるのではないかと推測します


腸内環境バランス

腸内環境を健康に保つためには、腸内細菌のバランスが重要です。
腸内細菌の構成比率は以下の通りです。

    善玉菌(乳酸菌、酪酸菌など):20%
ビタミンの合成、感染防御、免疫刺激などの働きがある菌群です。

     悪玉菌(有害な大腸菌など):10%
腐敗や有害物質を生成し、腸内環境を悪化させる可能性があります。

    日和見菌(無毒な大腸菌など):70%
通常は中立的ですが、腸内環境が悪化すると悪玉菌化することがあります。

このバランスが崩れると、腸内環境が悪化し、消化吸収や免疫機能にも影響を及ぼすといわれています

味噌や醤油はグルテンではない?

グルテンは「グルテニン」と「グリアジン」が水と結びつき、網目状につながることで形成されるものであり、小麦=グルテンではありません。
つまり味噌や醤油などは、「グルテンではない」ということです。
ただし、グルテン不耐症やアレルギーを持つ場合は注意し、確認が必要になります。

グルテンが腸に与える免疫の影響

「ボーダーテリアにおける犬てんかん性けいれん症候群は、グルテンによって引き起こされ、永続するグルテン過敏性の運動障害であり、グルテンフリーの食事に反応する」
出典:25 October 2015, https://doi.org/10.1111/jvim.13643

腸は体内最大の免疫器官であり、グルテンが免疫に与える影響についても注目されています。

        1.腸内環境と免疫

 腸内細菌の善玉菌は、腸粘膜での免疫細胞の活動を助ける働きがあります。例えば、乳酸菌や酪酸菌は腸の粘膜を強化し、外部からの病原菌やウイルスを防ぐ「バリア」としての役割を果たします。

        2. グルテンと免疫異常

 小麦に含まれるグルテンが腸のタイトジャンクションを広げることで、未消化のタンパク質や有害物質が体内に侵入しやすくなる可能性があります。
これにより、アレルギー反応や自己免疫疾患が引き起こされるリスクがあるとされています。

        3.免疫に重要な栄養素の吸収

 腸内環境が整っていると、ビタミンAやビタミンD、亜鉛などのミネラルなど免疫を強化する栄養素の吸収がスムーズになります。逆に腸内環境が悪化すると、これらの栄養素が不足し、免疫力の低下につながることがあります。

まとめ

 健康志向でグルテンフリーが広がる昨今ですが、「小麦=グルテン」ではありません。グルテンは小麦に含まれる「グルテニン」と「グリアジン」が結合して形成されます。
 また近年の小麦の品種改良により、私たちが本来持つ消化酵素では改良小麦の消化が難しい場合があり、犬にも同様の影響があると考えられます。特にグリアジンは腸のタイトジャンクションを広げ、アレルギーや自己免疫疾患のリスクを高めます。
 以上を踏まえ愛犬の健康状態や体質に応じた選択をしてあげましょう。

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この記事を書いた人

伊藤きみこのアバター 伊藤きみこ 犬の腸活アカデミー主宰

愛犬を3年先もハグする未来ををモットーに活動しています

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