犬の高齢化に伴い、慢性腎臓病はとても身近な病気になっています。
腎臓は体の老廃物を排出する大切な臓器ですが、機能が落ちてしまうと食欲不振や体重減少、貧血、むくみなどさまざまな症状が出てきます。一度悪くなった腎臓は元に戻すことが難しいため、「病気の進行をいかにゆるやかにするか」が治療の大きな目標になります。

腎臓病用の療法食や、血圧・脱水・電解質バランスの管理が必要になりますが、ただ、食事制限をするとどうしても栄養が不足しやすくなり、体重や筋肉が落ちてしまうことがあります。そんなときに補助的に栄養を支えるサプリメント「アミンアバスト」について解説します。
アミンアバストとは?
最近、日本でも使用されているのが 「アミンアバスト(AminAvast)」 というサプリメントです。中には複数のアミノ酸(グリシン、グルタミン、アルギニン、カルノシンなど)が組み合わされていて、腎臓の健康をサポートすることを目的に開発されました。
期待される働きとしては、
- 腎臓のろ過機能(GFR)を保つ
- 赤血球の産生を助け、貧血をサポートする
- 腎臓の修復に関わるタンパク質(BMP-7)の産生を維持する
- 筋肉や体重の減少を防ぐ
といった点が挙げられています。



実際にはカプセル状で販売されていますが、そのままでは飲ませにくいため、中身を取り出してウェットフードなどに混ぜて与える方法がおすすめです。
研究データからわかっていること


慢性腎臓病と診断された猫を対象にした海外での試験において、アミンアバストを投与したグループでは、半年間の観察で腎臓の数値(BUNやクレアチニン)が悪化せず、病期の進行を抑える効果が見られたと報告されています。
また、日本の動物病院でも、長期に与えることで体重の維持や検査値の安定が確認されたケースが紹介されています。
ただ、まだ症例数は多くなくすべての犬や猫で同じ効果が得られるわけではないようです。
メリットと注意点
メリット
- 腎臓病の進行を遅らせる可能性がある
- 体重や筋肉量の維持に役立つかもしれない
- 療法食や他の治療と併用できる
注意点
- 根本的に治す薬ではない
- 病気がかなり進行していると効果が期待できない場合もある
- 食事に混ぜる工夫が必要
- 長期的なデータはまだ少ない



「これさえ飲めば治る」というものではなく、あくまで療法食や点滴治療などと一緒に使う“サポート役”として考えるのが現実的です。
飼い主さんにできること


もしアミンアバストを使ってみたい場合は、まず主治医の先生に相談してみましょう。そのうえで、
- 定期的な血液検査や尿検査で病気のステージを確認
- 腎臓用療法食の導入の有無
- サプリを試す場合は3~6か月ごとに数値や体重をチェック
- 効果があれば継続、変化がなければ別の方法を検討
といった流れで取り入れるのが安心です。
まとめ
アミンアバストは、犬や猫の慢性腎臓病における「補助的な栄養サポート」として注目されているサプリメントです。腎臓の働きを守り、進行をゆるやかにする可能性が報告されています。ただし、万能薬ではなく、あくまで“療法食や治療を支えるためのプラスアルファ”として捉えましょう。
愛犬・愛猫が少しでも快適に長く過ごせるように、食事・治療・生活の工夫に加えて、こうしたサプリメントの力をうまく取り入れていくことも選択肢の一つです。気になる方は、ぜひかかりつけの先生と相談してみてください。
コメント